「・・・やっぱり難しいな・・・」
姉さんから貰った「ブルーアイズブルー」の楽譜。
練習を始めて1週間。自分のギターだと音が聞きづらいから
姉さんからヤマハのアコギを借りたけど姉さんのような音が出ない・・・。
「やっぱり弦押さえる力が弱いのかなぁ・・・」
レスポールなら簡単に出来るのに・・・。
やっぱりギターは難しい。そして・・・楽しい。
「どう？調子は？こないだはイントロ弾けたけど、進歩はあったかな？」
「うぅん、全然。やっぱり私にはまだ早い気がするよ」
「ダメだよ。そんな弱気になってちゃ。瑠璃は上手いんだから」
姉さんに言われるとなんだか説得力がある。
まぁ、上手いからなんだけどね・・・。
「じゃあ、もう少し練習してみる」
「うん。でもそんなに気張っちゃだめだよ」
「はーい」
・・・
「で？どうだったの？クラプトンの曲は進んでるかな？」
「昨日姉さんに同じこと言われたよ」
「あはは、それは失礼」
「そっちは？」
「ん？私？どうかなぁ。やっぱりMr.BIGは難しいよ」
「ふーん。まぁ、聴いててそんな感じだよね」
「そうだね。でも練習すれば出来るよ。練習は自分を裏切らない！ってね」
「練習は自分を裏切らない・・・か」
確かにそうだ。出来ないと思ってた「ブルーアイズブルー」も
練習してたから少し弾けるようになったんだ。
確かに難しいけど。・・・私にも出来そうな気がした。
「大丈夫だよ。ねりたんは自分が思ってるほど下手じゃないよ」
「・・・そうかなぁ」
「うん」
・・・
放課後。今日は特に予定も無いから早めに帰ってギター弾こうかな。
と思った矢先。
「♪～♪～・・・」
ん？声？誰だろう？
私はその声が聞こえる方向に足を向けた。
その場所は誰も居ない教室。ただ電気だけが点いていて
そのコは真ん中に立って歌っていた。
「・・・上手い」
「・・・はえ？」
あ、マズイ。邪魔しちゃったかな？
「・・・あわ、あわわわ」
「え？あの・・・？どうか・・・した？」
「声、響いてました・・・？もしかして？」
「あ、私はただ歌声が聞こえてこっちにきただけなんだけど・・・」
「ごめんなさい！あの・・・下手でしたよね？ボク、昔からそう言われてて・・・」
「いや？そんな事は無いと思うよ？とてもキレイな声だったけど・・・」
確かにキレイな歌声だった。初めて稲葉さんの声を聴いたような感覚に近かった感じがした。
高音も出てて、ちゃんとヴィヴラートも効いている。
学校にこんな声が出るコ、居たんだ・・・。
「えぇと・・・名前は？」
「え？あ、ボクの名前は・・・愛野理恵です」
続く。
次回
「Jam」
PR
